日本語

ヴェンデミア・ダルティスタ

ウィリアム・ケントリッジ

オルネッライア2015 「イル・カリズマ(偉人)」

オルネッライア2015
「イル・カリズマ(偉人)」

オルネッライア2015のキー・ワードとして、「イル・カリズマ(偉人)」を選びました。この言葉をモチーフにウィリアム・ケントリッジがヴェンデミア・ダルティスタの第10回目となる作品を担当しました。

芸術家について

1955年、南アフリカ生まれの芸術家。絵画、映画、彫刻、アニメーション、パフォーマンスの多彩な分野で国際的に高評価を受けており、作品では、政治的な事件や出来事を冷静な視点でとらえ、詩的で強力な風刺が効いた比喩に変換しています。1970年代以降、前衛的演劇、および、20世紀初期に台頭した政治色の濃い芸術運動に影響を受け、そこから新しい分野を切り開き、傑出した作品を発表しており、比喩により世界を描写するモダニスムの流れを継承しています。アパルトヘイトが政権を執っていた時代にヨハネスブルグで育ち、同政権の崩壊を自身で目撃したケントリッジは、南アフリカの政治の形態と現実の社会から多大な影響を受けました。政治や社会がどんなに特殊な状況にあっても、人間と世界は自由であるべきとのメッセージや比喩となる作品を発表しています。

ヴェンデミア・ダルティスタの作品

ケントリッジは、「イル・カリズマ(偉人)」をテーマにして今回の作品を制作するにあたり、ブドウの収穫とワインが生まれる瞬間をモチーフにしました。ケントリッジは次のように述べています。「ラベルに描いた剪定ばさみは、私がトスカーナで体験した収穫から着想を得ています。家族と一緒に、フィレンツェ郊外のサンカシャーノに6か月滞在しました。この体験で、ワイン造りでは人間の労働が極めて大切であると理解できました。とはいえ、最も強く印象に残っているのは、地元の農家の奥さんが用意してくれたランチを畑で食べた時の楽しい思い出です。人間の労働とテロワールが一つになって、ワインに深い風味が生まれるのです」。手作業と機械によるプロセスの両方を組み合わせてワインを造ることは、人間を機械に、逆に、機械を人間に変えることを意味します。ラベルの絵は、トスカーナのフリーマーケットや骨董店で見つけた古いイタリアの現金出納帳のページの上に描いてあります。サルマナザール・ボトルのラベルでは、アナモルフォーシス技法(ゆがんだ画像の上に金属製の円筒を置くと、筒の曲面に正常な形が映り込むデザイン技法)を使い、同じく労働をテーマにしています。平坦で歪んだ絵の上にサルマナザール・ボトルを置き、金属の筒を被せると、金属の曲面に剪定ばさみやコルク抜きが現れます。

創立30周年となる2015年ヴィンテージを記念して、マグナム・ボトルのラベルと特製の木箱の天板にケントリッジのデザインを使っています。

ウィリアム・ケントリッジがヴェンデミア・ダルティスタのためにデザインした、「イル・カリズマ(偉人)」の大型ボトルの一部は、2018年5月23日、サザビーズの協賛で競売し、収益金は全額、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館へ寄贈しました。

ギャラリー