日本語

ヴェンデミア・ダルティスタ

ミケランジェロ・ピストレット

オルネッライア2010 「ラ・セレブラツィオーネ(祝福)」

オルネッライア2010
「ラ・セレブラツィオーネ(祝福)」

オルネッライア2010のキー・ワードとして「ラ・セレブラツィオーネ(祝福)」を選びました。
この言葉をモチーフに、ミケランジェロ・ピストレットがヴェンデミア・ダルティスタの第5回目となる作品を担当しました。

芸術家について

1933年、イタリア、ピエモンテ州ビエッラ生まれ。現代芸術界で世界的な影響力と知名度を持ち、1960年代以来、パフォーマンス、彫刻、インスタレーションで世界から注目を浴びました。特に、鏡に絵を描いた「ミラー絵画」は、作品の中に見る者を映して取り込んだもので、国際的な評価を得ます。時間と空間の次元を表現した独特の鏡の作品により、ピストレットの方向性が決まり、自身の芸術理論の基礎が確立しました。ピストレットは、生のままの工業素材や自然の石や木を加工せずに使う先端芸術、「アルテ・ポーヴェラ」の中心的な芸術家で、初期から、自画像を描く際に周囲の空間や現実に注目して、ミラー絵画を追求しました。カリスマ性にあふれたピストレットは、文化運動を主宰し、1990年代、故郷、ビエッラで休眠化していた19世紀の繊維工場を改修し、アートをさまざまな社会活動に結びつける実験的集団、「チッタデッラルテ(ピストレット財団)」を設立しました。同集団による運動は、社会の知的な活動の中心点に芸術を置くことを目指し、社会全体を改革しようとしています。

ヴェンデミア・ダルティスタの作品

ヴェンデミア・ダルティスタの作品は、ピストレットの芸術の根幹であり、常に新たな実験を続けているミラー絵画がもとになっています。ダブルマグナムでは、ボトルの表面に鏡面加工した金属板を螺旋状に貼り付け、世界に1本しかないサルマナザールでは、螺旋状に裁断した金属オブジェを配し、アンペリアルでは、いろいろな形状の金属板をジグソーパズル風に貼り合わせてあります。全ての作品で鏡を使っており、ピストレットが1960年代初期から追求してきたモチーフの原点があります。ダブルマグナムとサルマナザールのボトルにある螺旋状のオブジェは、無限と大きな望みを表現し、ピストレットの内から溢れる精神性が窺えます。
一方、アンペリアルのボトルのデザインは、鏡面加工した10ピースの金属板をジグソーパズル風に配してあり、ボトルごとにピースの構成は異なります。また、どのボトルも、ピースが1個欠けています。作品の中にある鏡は、無限に広がる現実の世界において、見る者と周囲の環境の両方を映します。これにより、作品に時間の要素が生まれています。

オルネッライア創立の25周年を記念して、紙ラベルは貼らず、金と銀のシルクスクリーン印刷でエンボス加工した記念ロゴをデザインしました。

ミケランジェロ・ピストレットがヴェンデミア・ダルティスタのためにデザインした「ラ・セレブラツィオーネ(祝福)」の大型ボトルの一部は、2013年5月16日、サザビーズの協賛で競売し、収益金は全額、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス財団へ寄贈しました。

ギャラリー