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ヴェンデミア・ダルティスタ

エルネスト・ネト

オルネッライア2014「レッセンツァ(本質)」

オルネッライア2014

「レッセンツァ(本質)」

オルネッライア2014のキー・ワードとして、「レッセンツァ(本質)」を選びました。この言葉をモチーフにエルネスト・ネトがヴェンデミア・ダルティスタの第9回目となる作品を担当しました。

芸術家について

1964年、リオデジャネイロ生まれ。同市に住み、同市を拠点に芸術活動を展開。1994年から1997年までリオデジャネイロのラージェ公園ヴィジュアル芸術学校で学び、その間、サンパウロ近代美術館に作品を出品しました。かぎ針編み、襞のあるチュール生地、香辛料、石を使った手作りの作品のインスタレーションで有名になります。ネトの芸術の分野は広く、生物の形態を抽象化した古典的なモダニストの作品から、生のままの工業素材や自然の石や木を加工せずに使う先端芸術、「アルテ・ポーヴェラ」や、アメリカ発の「ミニマリスム」、ブラジルで始まったコンクリート・アートである「ネオ・コンクリーティスム」まで多岐に渡り、異質な物体を一つに融合させて美しく調和した作品に仕上げています。

ヴェンデミア・ダルティスタの作品

ネトが「レッセンツァ(本質)」をテーマにして今回の作品を制作する際、モチーフにしたのが、学術としてのシャーマニスム、自然界、自然現象、地域に密着した工芸品の四つです。2014年、ネトは、ブラジルの先住民、フニクイン族のメンバーとともに、同部族の儀式とシャーマニスムの伝統を調査することで芸術の交流を試みました。フニクイン族の霊的な生活、自然と調和することで受ける癒し、地球のエネルギーと深く繋がることで授かる知恵と平安に触れ、ネトは自然の強さとダイナミスムを再認識して、それを作品で表現しました。
ヴェンデミア・ダルティスタの作品として、ネトは、目の粗い編み目の服でボトルを覆いました。編み目の結び目によって、この服を着た人と、現代社会で自然なバランスを保つこと表現しています。一人の王(サルマナザール・ボトル)、十人の領主(アンぺリアル・ボトル)、多数の民(ダブル・マグナムとレギュラー・ボトル)がいる社会を想定し、その社会がバランスを保っていることを表しています。社会的な階層は、集団として調和的に暮らす上で、また、母なる自然と協調する上で不可欠であることを表現しました。


 エルネスト・ネトがヴェンデミア・ダルティスタのためにデザインした「レッセンツァ(本質)」の大型ボトルの一部は、2017年4月、サザビーズの協賛で競売し、収益金は全額、ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム財団が推進する「マインズ・アイ」プログラムへ寄贈しました。

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